磐梯山(24座)
- dwv1957
- 6月17日
- 読了時間: 5分
更新日:9月11日
【福島県磐梯山まさかのツーデイズ】
2025/3/6~3/7 (1泊2日)
メンバー:OG岩田(No. 758)
2025年2月、会社の先輩が宮城県に旅行に行く計画を立てた。
「お、これは3月の東北の山へいくいい機会になるぞ」と思い、「行きます」と即答。
行き先が宮城だから帰りのアクセスや積雪量を考慮し、また高校時代インターハイの舞台であった福島県猪苗代の磐梯山に決定。
磐梯山は猪苗代湖から登る表磐梯山、その反対から登る裏磐梯山がある。
表から見るとのっぺりしているが、裏磐梯山は山が全く変わったように勇ましくなる。
そんな一望を見たいと思い裏磐梯山に決定。
登山口であるスキー場に前泊をさせていただくことにした。
磐梯山は条件が良ければ日帰りできる。
もし日帰りできたら近くの安達太良山にも登るつもりで計画を立て、準備をした。
3月6日(木)
会社の旅行当日。
1人だけ大きな冬山装備を担いで集合。
先輩からは「俺らとの旅行は山のついでだと思ってるだろ」と呆れたように言われたが、「岩田らしい」と笑ってくれた。
宮城県を観光後解散時に、猪苗代へ向かう。
電車の本数が恐ろしく少なく、乗り換え時に1時間も待つ羽目になった。
登山口まではタクシーで向かう。道中は引くほどの積雪量だった。2メートル近くあった。
「下界でこの積雪量か」と思っていると、運転手の方から「今年は雪が多いから気をつけなさい」と助言をいただく。もと体育会ワンダーフォーゲル部の方だった。

深夜22時登山口であるスキー場に到着。
テントを邪魔にならないところに立てた。
明日は風速20を超えるかなりの風が予想されていた。
3月7日(金)
2時30起床、3時30出発。
荷物は全て担いで行った。
スキー場を歩いて上がり、山の麓に出るのだがもう雪が恐ろしく多い。
上に上がるほど積雪量は増して行った。
予定より3時間押して開けたところに出た。
風も強く、山は霧に覆われていたがその勇ましさに心を打たれた。

急登に差し掛かる。
予想を遥かに上回る斜度がきつかった。何よりラッセル。積雪がありすぎて後ろに転がり落ちていきそうだった。
尾根に出たのは8時を迎えようとしている頃だった。
ゆっくり歩かないと吹き飛ばされる風に緊張感が増す。東北だからか、雪も風も重く感じた。
何より風が冷たい。比べものにならないくらい冷たかった。
雪は降っていなかったのでゴーグルだけで耐えることができていたが、途中途中氷が飛んできて顔に当たった。
稜線に出ると山は風で唸り声をあげていた。風が強く視界が悪い。
目の前の細い通路を落ちずに歩くことは厳しいと判断。野営を事前に考えていた為、風が避けられそうなところでテントを張って様子を見るようにした。

08:30頃テントを建て終わり休憩。
治らない風にテントが折れそうだった。
一晩越す前に積雪量と風で行きのトレースは消えてしまうのではないかという不安が出てきた。
14:00バッテリーが寒さでつかなくなっていることに気がつく。携帯本体の充電はいつも間にか50%になっていた。寒さで減りが早いのだろう。だんだんと死を待っているような気がした。万が一降りれなくなった時携帯の充電が切れるといよいよまずいと思い、ここで撤退を決意した。
暴風の中テントを撤収した。
40分ほど歩いて下りの尾根に出る。
爆風で耳がどんどんとなっていた。しばらく風に当たっていると、視界が晴れ、福島県が一望できた。
東北の山にこうして独りで立っている事が嬉しかった。

尾根をおり、今朝の開けた場所に着くと風は嘘のように止み、振り返ると行きに見えなかった裏磐梯山が一望でした。非常に勇ましい姿だった。
トレースは消えておらず、楽に帰れた。朝の自分に感謝した。
スキー場に戻ると、スキー場の方々が寄ってきて、「朝歩いてた子か!!女の子だったとはあ!」といい福島訛りで気にかけてくださった。明日もアタックしたいことを伝えるとなんと携帯の充電や衣類の乾燥を手伝ってくださることに。
コーヒーやお菓子まで頂いてしまった。
非常に暖かで気前の良い方々だった。
テント場を貸していただき、装備を整えて、明日に備えた。
3月8日(土)
3時起床、4時出発。
昨日のトレースが功を成し、昨日と同じ道とは思えなかった。昨日より2時間も早く尾根の取り付きに来ていた。

天候は晴れ。気温も低く雪がしまっている為絶好のコンディション。朝から磐梯山が美しく見えていた。

急登を登る。この道は昨日同様きつかった。稜線に出ると昨日は見えなかった山頂まで一望できた。
ただ独り、静かな磐梯山を歩いて行った。非常に幸せな気分だった。
尾根から山頂まではトレースがなかった為好きな場所を歩きながら山頂を目指す。
樹氷が美しく、生きた彫刻のようだった。今にも動き出しそうだ。

8:30山頂に着いた。
昨日とは全く違うスピードで歩けた。
山頂からは東北が一望。麓にはかつて高校時代悔し涙を流した猪苗代の体育会があった。思わず手を振った。
降り始めると続々と人が登ってきた。昨日は1人も登山者に出会わなかったが、今日は40名近くの人とすれ違う。
皆私のトレースを追っていたのでないさ山ほくそ笑んでいた。

下山が終わるとスキー場の方々が「ずいぶん早かったなあ」と迎えてくださった。深くお礼を言って帰路についた。
東北の洗礼も恩恵も受けた東北遠征。
冬にまた訪れたいものだ。



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